古民家カフェの内装費用は?相場・内訳と費用を抑える方法を比較

- 古民家カフェの内装工事費は床補強・クロス貼り等で200万〜1,200万円が民間記事の目安。
- 電気・空調・換気は50万〜150万円、給排水は20万〜500万円かかる事例がある。
- 費用を抑えるなら居抜き活用、趣を生かすならフルリノベと方向性で予算が変わる。
- 小規模事業者持続化補助金は内装工事費が対象になりうるが、公募回ごとに条件が変わる。
- 飲食店営業許可・消防法・用途変更など、開業前の許認可確認は必須。
書いているのは中村灯里。古民家カフェの開業支援をしながら、自分でも築80年の古民家をリノベして週末カフェを営んでいます。許可申請も内装の打ち合わせも、全部自分で手を動かしてきました。その経験から、相場と落とし穴を正直に書きます。
古民家カフェの内装費用の相場と内訳

古民家カフェの内装工事費は、民間記事ベースで数百万円〜1,000万円超が現実的な相場です。
公的な全国統計は見当たらないので、ここは複数の民間相場を並べます。テナント工房の記事では、床補強・クロス貼り等で200万〜1,200万円という幅が示されています。
別の記事では、古民家を飲食店にリノベーションする費用相場を800万〜1,500万円としています。私の感覚でも、ある程度きちんと直すと1,000万円前後に着地しやすい。
工事費用の相場の目安
相場は「どこまで直すか」で大きく動きます。柱や梁を生かして表層だけ整えるのか、構造から手を入れるのかで桁が変わる。
| 項目 | 費用の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 床補強・クロス貼り等 | 200万〜1,200万円 | 構造補強が入ると上振れ |
| 電気・空調・換気 | 50万〜150万円 | 配線更新で増えやすい |
| 給排水 | 20万〜500万円 | 厨房位置で大きく変動 |
| 家具・建具 | 30万〜500万円 | 古家具活用で圧縮可能 |
| 飲食店リノベ総額(別記事) | 800万〜1,500万円 | 全面改修の総額目安 |
工事費用の内訳
内訳は大きく「躯体・床」「電気・空調」「給排水」「家具・建具」に分かれます。
私の現場で一番読みづらかったのは給排水でした。厨房をどこに置くかで配管距離が変わり、20万円で済む現場もあれば、数百万円かかる現場もある。最初に厨房レイアウトを決めることが、結果的に費用を決めます。
空調・電気・水道などインフラ設備の更新費用
古民家のインフラは「見えない部分の更新費」がかさみます。電気・空調・換気で50万〜150万円が民間記事の目安です。
築80年の物件だと、そもそも電気容量が足りないことが多い。私の家も契約アンペアの引き上げと分電盤交換から始まりました。古い配線はそのまま使わず、安全のために引き直すのが基本です。
古民家特有の追加費用が発生しやすいポイント
古民家で予算が崩れる最大の原因は、解体して初めて分かる劣化です。
床をはがしたら根太が湿気でやられていた、壁の中でシロアリが進んでいた。これは見積もり段階では見えません。私も解体後に床組をまるごと組み直すことになり、当初予算から数十万円跳ねました。
費用を抑える内装プランの比較と選び方
費用を抑える鍵は、フルリノベ・部分改修・居抜き活用のどれを選ぶかです。

同じ「古民家カフェ」でも、この三択で総額が数百万円単位で変わります。趣を取るか、コストを取るか。ここは正直に立場を選ぶべき場面です。
フルリノベーション・部分改修・居抜き活用の比較
| プラン | 費用感 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| フルリノベ | 800万〜1,500万円 | 趣と性能を両立しやすい | 費用と工期が最大 |
| 部分改修 | 数百万円規模 | 必要箇所に絞れる | 構造リスクは残る |
| 居抜き活用 | 最も安く抑えやすい | 設備を流用でき早い | 希望の世界観を作りにくい |
私の本音を言うと、古民家の魅力を出したいならフルリノベか部分改修。前の飲食店の居抜きは安いけれど、古民家らしさは犠牲になりやすい。
DIYで対応できる範囲とプロに任せるべき範囲
DIYは塗装や軽い造作までにとどめ、構造・電気・水道・ガスはプロに任せます。
- DIYで現実的:壁の塗装、棚づくり、古家具の補修、軽い土間づくり。
- プロ必須:構造補強、電気配線、給排水、ガス、消防設備。
- 電気・ガス・水道は資格がないと工事できない法定領域。
私は壁の漆喰塗りを自分でやって、20万円ほど浮きました。でも電気だけは手を出していません。古い配線は火災リスクに直結するので、ここは絶対にプロです。
内装業者・設計事務所の選び方と相見積もりの取り方
業者は最低3社から相見積もりを取り、同じ条件で比べるのが鉄則です。
見積もりの「一式」が多い会社は要注意。床・電気・給排水と項目ごとに分かれている見積もりのほうが、後から比べやすく、追加費用の交渉もしやすい。
予算タイプ別こんな人におすすめの進め方
進め方は「コスト最優先」「趣最優先」「短期開業」の3タイプで分けると決めやすいです。

| タイプ | 選ぶプラン | おすすめの動き方 |
|---|---|---|
| 費用を抑えたい | 居抜き+部分DIY | 設備流用+塗装を自分で |
| 趣を生かしたい | フルリノベ | 古民家実績の業者に設計から依頼 |
| 短期で開業 | 居抜き活用 | 用途変更不要の物件を優先 |
費用を最優先で抑えたい人
居抜き物件を探し、塗装や家具はDIYで。設備が生きている物件なら、給排水や厨房工事を大きく圧縮できます。
古民家の趣を最大限生かしたい人
梁や柱を見せるフルリノベに振り切る。総額は800万〜1,500万円と高いですが、その世界観は居抜きでは出せません。私はこちら派です。
短期間で開業したい人
工事範囲を最小限にし、用途変更が不要な規模の物件を選ぶと早い。許認可で止まらない物件選びが、結果的に最短ルートになります。
古民家カフェの内装デザインのポイント

古民家カフェの内装は「構造を見せる」「暖色の光」「断熱と安全の両立」が軸です。
古さは魅力であると同時に、寒さや段差という弱点でもある。見た目と快適さを同時に設計するのが古民家の腕の見せどころです。
棟木や垂木、天然木風の素材で趣を出す
天井の棟木や垂木をあえて見せると、古民家らしい高さと迫力が出ます。床や建具に天然木風の素材を合わせると、空間に一体感が生まれる。
暖色系の照明と古い家具で空間をつくる
照明は暖色系が古民家に合います。手入れされた古い家具を1つ置くだけで、空間が引き締まる。私の店では祖母の和箪笥をレジ台にしました。
断熱性・気密性・耐震性とユニバーサルデザイン
古民家は寒い。断熱は妥協しないほうがいいです。既存住宅の断熱リフォーム支援事業では、対象費用の1/3、戸建1戸あたり最大120万円が補助されます。
段差解消や手すりなどのユニバーサルデザインも、最初に組み込むほうが安い。後付けは割高になります。
集客につながるSNS映えを意識した内装
写真に撮りたくなる「一枚画になる席」を1つ作ると集客が変わります。窓から庭が見える席、土間に古家具を置いた一角。投稿される場所を意図して設計するのが今の集客です。
古民家カフェの内装施工事例
施工事例は「光」「和洋」「特殊物件」の方向性で見ると、自分の理想が固まります。

アンティークランプが灯る古民家カフェ
アンティークランプの優しい灯りで、夜の落ち着いた雰囲気を作る事例。暖色照明と古材の相性が良く、写真映えもします。
昭和レトロ・和洋融合の古民家カフェ
昭和レトロな家具やタイルを生かす事例と、襖や畳に洋家具を合わせる和洋融合の事例。古いものを捨てずに使い切る発想が、コスト圧縮にもつながります。
木造校舎をリノベーションした古民家カフェ
廃校の木造校舎を生かした事例は、広い空間と高い天井が魅力。ただし規模が大きいぶん、用途変更や消防設備の負担も大きくなります。
開業に必要な許認可と法規制の確認
古民家カフェの開業には、飲食店営業許可・消防法・建築基準法(用途変更)の3つの確認が必須です。

私は飲食店営業許可を実際に取りました。内装が完成してからでは間に合わない手続きもあるので、設計段階で保健所と消防に相談しておくと安全です。
飲食店営業許可と消防法のポイント
飲食店営業許可は、厨房のシンク数や手洗い、客席との区画など設備基準があります。図面段階で保健所に確認しておくと、作り直しを避けられる。
消防法では、収容人数や面積によって消防設備や防火対象物の届出が必要になります。古民家は木造で防火面が弱いので、ここは早めに消防署へ。
建築基準法と用途変更手続き
住宅をカフェにする場合、一定規模を超えると建築基準法上の用途変更手続きが必要です。
賃貸物件の原状回復義務と契約上の注意点
賃貸の古民家を借りる場合、退去時の原状回復義務がどこまでかを契約で確認します。
古材を生かした造作を加えると、原状回復で「元に戻せない」問題が起きやすい。契約時に「現状有姿での返却可」など、改装範囲の合意を書面で残しておくのが安全です。
物件選びと開業までのスケジュール

物件選びは「建物の健康状態」を診て、開業まではおおむね数か月〜半年を見込みます。
古民家は安く見えても、診断結果しだいで補強費が跳ねます。建物診断を先に、契約はその後。順番を間違えないことです。
雨漏り・シロアリ・基礎の建物診断チェック
- 雨漏り:天井や梁のシミ、屋根裏の濡れ跡を確認する。
- シロアリ:床下の土台や柱の食害、空洞音をチェックする。
- 基礎:ひび割れ、傾き、床のたわみを見る。
- これらは解体後の追加費用に直結するので契約前に診断する。
私の物件は床下にシロアリの痕跡があり、駆除と土台補修が追加に。事前診断でリスクを織り込めたから、慌てずに予算を組めました。
開業までのスケジュールと工事期間の目安
| 段階 | 主な内容 |
|---|---|
| 物件探し・建物診断 | 雨漏り・シロアリ・基礎の確認 |
| プラン・見積もり | 相見積もり、許認可の事前相談 |
| 内装工事 | 構造補強・設備・仕上げ |
| 許可申請・検査 | 飲食店営業許可、消防確認 |
| 開業 | プレオープンで動線を最終確認 |
資金調達の方法と補助金の活用
資金は融資を軸に、補助金を上乗せで考えます。小規模事業者持続化補助金は、内装工事費が対象になりうる制度として案内されています。
ただし補助額・補助率・公募期限は公募回ごとに変わります。必ず最新の公募要領で確認してください。
古民家活用の補助金は、国より都道府県・市町村の空き家対策や地域活性化施策として出ることが多い。地元自治体の制度を必ず確認しましょう。
失敗しないための注意点とよくある質問
古民家カフェの失敗の多くは、想定外の追加費用と安全対策の後回しから起きます。

完成形の写真は誰でも作れます。でも開業後に効いてくるのは、見えない部分の処理と維持費です。ここを甘く見ないこと。
想定外費用が出やすい古民家特有のリスク
解体時の腐食・シロアリ被害・基礎の劣化は、見積もりに乗らない追加費用の三大要因です。予備費を本体の1〜2割は別に持っておくと心が折れません。
段差・滑りやすい床・古い配線などの安全対策
古民家は段差が多く、床も滑りやすい。介護保険の住宅改修費では、手すり設置・段差解消・床材変更などが対象で、最大20万円の工事費が支給対象です(住宅としての要件あり)。
古い電気配線は、見た目は問題なくても被覆が劣化していることがあります。火災リスクなので、配線は更新が基本です。
経年劣化への長期的な維持管理コスト
古民家は開業後も維持費がかかります。屋根や外壁、木部の塗り直し、シロアリの再点検。年単位のメンテ予算を最初の事業計画に組み込んでおくと、後で慌てません。
よくある質問
最後にひとつだけ。古民家は「直してみないと分からない」が宿命です。だからこそ予備費と建物診断を最初に押さえてください。それだけで、開業の失敗はかなり減らせます。まずは気になる物件の床下を覗くところから始めましょう。
